唐津暮らし〜ここちよい生活のはじまり

唐津の暮らしvoice list

お寺から地域課題に取り組む人

LihiTerra (リヒテラ) 代表 靈山侑菜(よしやま ゆうな)さんとご主人

LihiTerra (リヒテラ) 代表 靈山 侑菜(よしやま ゆうな)さん

唐津に限らず地域が抱えている課題はたくさんあります。
今回はその課題から目をそらさず、ひとつひとつ自分事として真摯に向き合い、自分が出来る事に取り組む女性をご紹介します。

 



靈山さんは大阪府出身。2017年2月、結婚を機に唐津へやってきました。
ご主人は唐津市鎮西町にある、良縁寺の副住職。
大学時代と卒業後、合わせて5年半をハワイで過ごした靈山さん。好奇心が強く、新しい土地に行くことには全く抵抗がなく、唐津、そしてお寺での暮らしも楽しみだったと明るく笑います。

 

唐津に来てすぐにJCC(ジャパン・コスメティックセンター)に入社。英語力を活かして海外、アジア担当の部署に配属、主に台湾やタイの輸出入支援や商談会を開催。年に何度か現地へ渡りJCCや唐津の魅力を伝える活動をしていたそうです。その中でHanaMarche(ハナマルシェ)という美と健康をテーマとしたイベントの運営に携わり、今まで気にかけたこともなかった地域が抱える課題を目の当たりにした靈山さん。
「HanaMarcheに関わり、地元の方とお話しする中で農業の高齢化問題や後継者不足、耕作放棄地の増加、さらに気候変動の影響を受けていたりと、いろんな課題が山積みなことを知り地域課題に目を向けるきっかけになりました。」と語ります。

 

2020年JCCを退職、フリーランスに。HanaMarcheのテーマを広げて地域、そして社会の課題に目を向けようと、JCCで一緒に仕事をしていた小田切氏とともにHanaMarcheConnect (ハナマルシェコネクト)を今年5月に立ち上げました。ビーチクリーン活動や保育園で子ども達へ環境問題を分かりやすく伝える絵本・紙芝居の読み聞かせなど、環境と人と社会を繋げる活動を行っています。

HanaMarcheのビーチクリーン活動にて

HanaMarcheConnectのビーチクリーン活動

HanaMarcheをきっかけに地域の課題に目を向け始めた靈山さんですが、嫁いだお寺でも地域の課題にぶつかったと言います。その課題とは貧困問題。お寺と貧困問題、一見何の関わりもなさそうですがどういうことだったのでしょう。

 


「お彼岸、お正月、お盆とお供え物がたくさん上がるんです。もちろん頂いたり、檀家さんや周りの方にお渡ししたりするのですが、渡しきれないほどで。うちは小さなお寺なのでこれくらいですけど、それでも余ってしまう食材をどうしようと思っている時に、お供え物を困っているご家庭に支援としておすそわけしている、『おてらおやつクラブ』という活動がある事を教えてもらいました。」
すぐに問い合わせをして佐賀市の支援団体を紹介してもらい、定期的に下げたお供え物を段ボールに詰めて送り始めたのが2019年初め。この活動を始めて、日本で子どもの7人に1人は貧困問題にあることを知り、日本にもそんなにいるの!?と驚いたそうです。
「お寺だけじゃなく、農家さんだったりこの地域の中でも、お店に出せないものを廃棄していたり、もったいない物がたくさんあると思います。それをどこかに繋げられたらと思い始めました。」

LihiTerra(リヒテラ)ではこども宅食という取組みや支援を行う

この活動を始めて以来、子どもが好きそうなお菓子のお供え物が増えたそう

おてらおやつクラブの活動を続けながら、もう一歩踏み込んで関わっていきたいと強く感じた靈山さんは、2020年10月LihiTerra(リヒテラ)を立ち上げ、こども宅食という取組みも始めました。
Lihiはハワイ語で「繋がる、良い縁がある」という意味。Terraはテラ、お寺から貧困に関わり始めたから。良縁寺というお寺の名前にも繋がっています。

 

 

団体への支援とは違い、生活が厳しい子どもがいる家庭に自分でヒアリングをし、どんな支援がどのくらい必要か支援者自身が考え、自宅まで届けるこども宅食。 靈山さんがおすそわけする物は、お供え物だけでなく、繋がりのある企業の化粧品サンプルや農家さんからいただく野菜やお米も。
「化粧品サンプルは、働くお母さんも嬉しいですよね。箱を開けた時、子どもだけでなくお母さんにも喜んでもらえるように。もう支援が必要ないと思えるまで見届けたら、また新しいご家庭に繋ぐ仕組みにしたいです。」

支援を必要としている家庭へのこども宅食

子どもも大人も笑顔になってくれますようにと、想いを込めてひとつひとつ届けます

こども宅食でそれぞれのご家庭に関わる中で、子どもには教育と、周りとの関わりが不可欠だと感じた靈山さん。支援を必要としているご家庭はどうしても地域社会との関わりが希薄になりがちだからです。
「将来的には、(支援先の家庭の)子どもから大人まで、地域での活動に実際に参加することで外との接点を作りながらいろいろ学んで、それが希望になることを願っています。
都会ではなかったけど、唐津では地域の人が『これ食べて』といろいろ持って来てくれるんですよ。おすそわけってすごく良い文化で、残していくべきものだと思っていて。だから私は支援というより、ただ家にあるもの、どこかに余っているものをシェアしているだけ。LihiTerraが集めて、必要なところにお繋ぎできたらいいかなと思っています。」

 

今だけ、物だけの繋がりじゃなく、お仕事や人との縁を繋ぎ、長い目で見て家族全員が幸せになれるような環境作りを目指しているという靈山さん。
そこには昔は当たり前だったはずの人と人との助け合いや地域の中での支えあい、困った時はお互い様、という陽だまりの様な優しい温もりを感じずにはいられません。

唐津で子ども達とをつなぐ街づくり

お寺の裏を子ども達が農業体験できるよう開墾中。2匹の子ヤギが待っています

【Information】

良縁寺
TEL 0955822390
携帯 08083925733

唐津に移住したKyokoさんの写真

コラムニスト:Kyoko

ピラティススタジオ ミューク代表
四国・湘南・東京・熊本など、各地で高校生から70代の女性を中心に、ピラティス・筋膜リリースをはじめ、身体の正しい使い方・セルフケアを指導。身体が軽いと、産後はもっと楽しくなる事を伝えたいと、赤ちゃん連れ可能なレッスンや産前産後ケアも対応している。
2016.8唐津に移住。現在は、移住先の築100年の古民家で、無農薬無肥料でお野菜やハーブを育てながら、夫と4人の子どもたちと暮らしている。

 

HP:https://ameblo.jp/mjukpilates/

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